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2015年7月26日日曜日

神戸臨港線 第4突堤をぶらぶらするよ

神戸臨港線 新港突堤の廃線跡をぶらぶら
の続きです.

第4突堤を先の方へぶらぶら行くと

ふと見ると壁にQ2とかかれた建物が!
Q2といってもダイヤルQ2(2014年2月28日でサービスを終了)とは関係なさそう.

接近


大接近

みどりの広場と描かれています.

第4突堤Q2上屋(1931)です.


何が何でもおまえを入れない感じの面格子.

現在は神戸市みなと総局神戸港管理事務所です.




持ち送り!

たばこのむな


このQ2上屋は鉄道連絡機能を持つ海外航路の玄関口だったのです.

埠頭を渡る風~新港突堤を歩く~ 中尾嘉孝 by きんもくせい
http://www.gakugei-pub.jp/kobe/g_kin/48hon.htm#N0002
中尾嘉孝氏の論文から.
竣工当時は第一突堤であり、海外航路の客船の接岸岸壁という、世界との窓口の役割を負って来た場所である。(中略)
この上屋は、昭和6(1931)年に第二期工事で拡張された突堤の東側部分に鉄筋コンクリート造で移転改築されたが、基本的な構造は踏襲されている。すなわち2階のデッキは、接岸している船舶のデッキから直接、船客が乗降できる構造となっており、1階部分に隣接する引込線には東灘駅(灘区)を基点とする臨港線を経由してポートトレインが入線し、旅客の利便を図っていた。
竣工当時のQ2上屋 神戸港大観(昭和8(1933)年) 近代デジタルライブラリーより
http://kindai.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1241510

奥に見えるのがQ2上屋.手前は第4突堤西側の岸壁とQ2上屋以前に使われていた船客乗降場上屋.

海港日本を代表するQ岸壁愈々出来上る 大阪毎日新聞1932/5/8 by 神戸大学附属図書館 新聞記事文庫
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/das/jsp/ja/ContentViewM.jsp?METAID=00467733&TYPE=IMAGE_FILE&POS=1
Q2上屋が竣工した頃の記事です.少し長いですが引用.
昨年から着工した間口百二間、奥行二十一間のクリーム色の感じのいい三階建で正面には横幅三尺の屋根附遊歩路があり入口を入ると左右には鉄道案内所と売店、大理石の手摺の階段を上ると中央広場前には電信、電話、鉄道の出張所があって、これまで不便勝だった船と陸との通信難が完全に一掃されるようになっている、その南北には実にひろびろとした待合室があり、長椅子が設けられてあるからこれまで休憩場所のなかった船の出迎え見送り人は大助かり、そこにはモダンなバースタンドとロマンス・ルームのついた食堂設備までが整っている
待合室の南隣には、立派な貴賓室とその副室、待合所前は、一面海と山とを見晴らしながら出迎えが出来る長い歩道、三階には船舶の港内出入を一轄統率する港務部繋船係事務室があって中央高塔に信号旗をかかげて船を指揮するその東側はこれまた長さ百余間の大露台、ゴジック風にQの字を大きく飾った欄干から、出てゆく船へお別れのテープがひける、しかも本船と上屋の間には高低自在に伸縮する大繋船渡橋がするするとハンドル一つで動いている-まことに海港モダン日本を代表して「東洋一」の太鼓の判を押される大岸壁上屋である 
とあります.ロマンですね.


突堤の中央部を走る高架道.南方向.
うねうねとした高架道に生命力を感じます.第4突堤の中央を走る高架道は,この先神戸大橋を渡りポートアイランド,神戸空港へと向かいます.

北方向,突堤の付け根の方を振り返ったところ.正面は神戸商工貿易センタービルです.

ここにボート・トレインが到着する線路があったのですね.


Q2上屋建物の北側へ周ります.

北東側,魅力的な曲線部に向かって階段が上がります.


下からみたところ.

建物東側.手前(北)の建物がQ2上屋,隣接して奥(南)がポートターミナル(1970竣工)です.


神戸大橋の手前に見えるのは接岸した客船用の搭乗橋.


ポートターミナル送迎デッキから北方向.

Q2上屋屋上を南からみたところ.建物の西側.このあたりは立ち入り禁止のようです.たぶんこれがみどりの広場だと思うんですが.


屋上に上がってみましょう.

Q2上屋屋上.建物東側です.


南から.

北から.


窓から室内を覗き込みました.



結構な滑り台w 先ほど下から眺めた建物北側階段部の屋根です.


北方向.右の大きい建物が前回散歩してきた三井倉庫です.

三井倉庫の手前の青い屋根の倉庫があるのが三井桟橋です.


さらに右奥に見えているのが新港東埠頭です.


こちらは港に佇むアベック学生.


二人の間に見えるのは三井倉庫.映画「青春ロマンスシート 青草に坐す」(1954)より.
右の女学生はこの映画のヒロイン,美空ひばり.当時17歳です.


右にパンして三井桟橋.

そしてさらに第5突堤と灯台.現役時代の神戸港信号所です.


神戸港信号所は1921年に新港第4突堤に建設,1937年に新港第5突堤に移動.
1990年に信号所としての役目を終え現在は神戸ハーバーランド,アンパンマンミュージアム南に移設,保存されています.


2013/12の旧神戸港信号所.灘大学でのクルージングで.


2015年の第4突堤から.ロマンです!

ではまた.
2015/7に散歩.

より大きな地図で sanpo kobe を表示

1907 明治40 神戸臨港線 灘信号所-小野浜(後の神戸港)開業
1907 明治40 神戸港第一期修築工事着工(神戸税関海陸運輸連絡設備工事) 現在の新港第1〜3突堤,第4突堤の西側
1919 大正08 神戸港第二期修築工事着工 第4突堤の東側,第5,6突堤
1921 大正10 神戸港信号所,第4突堤に建設
1922 大正11 神戸港第一期修築工事完了
1924 大正13 小野浜駅から神戸港駅(こうべみなとえき)までが開業.ボート・トレイン運行開始
1932 昭和07 第4突堤東側 Q2上屋完成
1937 昭和12 神戸港信号所,第5突堤に移設
1939 昭和14 神戸港第二期修築工事完了
1939 昭和14 神戸港(こうべみなと)駅を小野浜駅に併合し神戸港(こうべこう)駅に改称
1953 昭和28 新港第7突堤(西)竣工
1956 昭和31 新港第7突堤(東)竣工
1959 昭和34 新港第8突堤(西)竣工
1967 昭和42 新港第8突堤(東)竣工
1990 平成02 神戸港信号所,運用終了
1998 平成10 新港第5〜8突堤の埋立竣工.新港東埠頭に.

旧第4突堤船客乗降場 by 近代建築Watch
http://hardcandy.exblog.jp/7116670/
内部の様子もあります.

旧神戸港第4突堤信号所 by 近代建築Watch
http://hardcandy.exblog.jp/7786019/

一冊の本 神戸税関海陸運輸連絡設備概要 by 汽車好きクラーケン
http://kraken.cocolog-nifty.com/blog/cat57653647/index.html
大正11(1922)年大蔵大臣官房臨時建築課発行の「神戸税関海陸運輸連絡設備概要」
発行された1922年はちょうど第一期修築工事完了した時期です.
第4突堤(当時第1突堤)西側部分の鉄道上屋の写真あり.
第4突堤(当時第1突堤)当時の神戸港信号所も写っています.
神戸税関海陸運輸連絡設備工事之図には詳しく突堤に張り巡らせられる線路が記入されています.
出張所(office)の記載があります.現在の新港貿易会館(1931)の場所です.これは貨物駅の出張所という意味でしょうか.
第4突堤が西側のみ完成していた時代の断面図もあり,なかなか興味深い本です.

過去の記事から 神戸臨港線シリーズ
灘区の東灘をぐるぐると
http://sanponow.blogspot.com/2015/05/blog-post.html
神戸臨港線の跡をぶらぶらと
http://sanponow.blogspot.com/2015/07/blog-post.html
神戸臨港線 新港突堤の廃線跡をぶらぶら
http://sanponow.blogspot.com/2015/07/blog-post_24.html

灘大学クルージングの模様は
灘大学で海上散歩! 摩耶埠頭〜神戸港めぐり
http://sanponow.blogspot.com/2013/12/blog-post_13.html

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