そんな神戸市役所で「神戸市役所本庁舎2号館パネル展」が行われていました.旧本館へ入れる最後のチャンスでしょうか.
この庁舎が完成したのは1957年.当時のできごとはこんな感じ.
1.初代の庁舎は兵庫区東川崎町(現,中央区相生町)にあった神戸区役所を使用.1889/6/21開庁.
1878年の郡区町村編制法に基づく神戸区の区役所でした.跡地は長らく神戸海員会館(2005/3閉館)でしたが現在はベルコ神戸駅前ホールとなっています.
2.生田区(現,中央区)橘通1に市庁舎を新築(1909/12/18).現在の神戸地方裁判所の隣,神戸地方検察庁の場所.
3.1945/9/1,戦後分散していた市役所を集約し兵庫区松本通1の市立第1高等女学校(現在の湊川中学の場所)の校舎と隣接する勧業館(現在の兵庫区役所)に移転.
4.生田区(現,中央区)加納町6の東遊園地の現在地に本庁舎を1957/4/26,新築.
旧庁舎の位置を記した地図.
正面立面図 設計は日建設計
竣工当初の1Fのこのフロアには会計室や金庫等があったようです.
1Fロビー裏手にはタイプ室なんてのもありますね.タイピストという職業が花形だった時代でしょうか.戦後の映画のヒロインはタイピストが多かったですね.
丸の内の会社に勤めるタイピストという設定は戦前の小津映画から高度成長期前半くらいまでの映画にはよく見られた気がします.もう絶滅した職業でしょうか?
オフィスで働く女性の元祖!「職業婦人」の歴史に迫る(前編) by なつかしのオフィス風景録 大塚商会
タイピストは,1920年代くらいが黎明期だそうです.
北西側から.元はテニスコートだったんですね.
市電が走っているのが旧生田川の川跡の滝道(現 フラワーロード).市電の左の5F建てくらいのビルが神戸ビル(現 大和ハウス工業神戸支店).神戸ビルの向こう側は進駐軍接収地であるイーストキャンプ.
神戸ビルは「進駐軍」接遇施設を目的とした「遊郭地帯」に兵庫県保安課によって設定されていました.(村上しほり「神戸闇市からの復興」慶應義塾大学出版会(2018) p.94)
イーストキャンプの接収解除は最終的には1956/12.市役所本庁舎竣工の半年弱前なんですね.
1955/8/12の現場.敷地の向こうに見えている白い建物は三和銀行(現 三菱UFJ銀行三宮支店).その向こうに鉄骨が立ち上がっているのは建築中の神戸国際会館.市役所より少し先行して建設が進んでいたことがわかります.
この三和銀行は見覚えのある建物ですが,いつの間にか建て替えられていました.
詳細不明物件 05 ー旧三和銀行 三ノ宮支店ー by 近代建築図鑑 Memories of Kobe
1937には存在,1989/4頃解体とあります.
さらに建設が進む神戸国際会館.拡大するとその背後に,そごうの右側に増築工事も行われているのがわかります.
1957/4の市政だより.「新庁舎ついに完成」の写真.
神戸国際会館(1956)も完成している.そごう神戸店の増築部も完成しているように見えます.
さらに背後には神戸新聞会館(1956)も出来上がっています.
新庁舎の案内図.屋上には花壇や展望台もあります.
北面.花時計も見えます.庁舎開庁の1957/4/26から時を刻み始めています.
花時計は2018/12/3移転のため撤去開始.2019/3/28から移転先の東遊園地最南端で稼働再開.
1995年の阪神淡路大震災による変化.庁舎の5F以上を撤去し,新たに5Fに増築している.1996/3/15から2号館で業務再開.
3F以上へは立入禁止.
1Fエントランスの定礎部分が開けられていました.
5千円札,1万円札が発行されるのはそれぞれ1957/10,1958/12なのでタッチの差でまだありませんね.そうしたことを含めて,戦後日本の復興が軌道に乗ってくる時期だったということがわかります.初めてもらったお年玉が,百円札だったのを思い出しました.
庁舎北面.
庁舎北のクーリングタワー.花時計のあった場所に設けられています.
こうのとりは兵庫県の県の鳥,あじさいは神戸市の市民の花ですね.左面にはタンタンも!
ではまた
2020/10に散歩
「アートは不要不急か」は愚問,解体予定のビルに巨大な壁画 by Lmaga.jp
解体される神戸市役所2号館 最後の壁画が完成 by 神戸新聞
過去の記事から
・さらば,神戸市役所2号館
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